みぞおちの痛み

上腹部の中心にあたるみぞおちに起こる痛みは、主に胃腸の異常が原因ですが、ときに胆嚢(たんのう)、すい臓や胸部の異常によって起こることもあります。従って、痛みの場所以外に、痛み方や一緒にあらわれる症状をきちんと把握しておくことが大切です。

日常生活から考えられる原因

1食べすぎ飲みすぎ、刺激の強い食べ物

暴飲暴食をしたり、にんにく、唐辛子など刺激の強い食品を食べすぎると、みぞおちが痛むことがあります。また適量を超えた毎日のアルコールやタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料も胃酸の分泌を促進して胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、みぞおちの痛みの原因になります。

2ストレスや温度差による自律神経の乱れ

過度の精神的ストレスは、自律神経のバランスを崩します。また、エアコンでキンキンに冷えた夏の室内や、暖房で汗ばむような冬の室内など、室内外の温度差による身体的ストレスも、胃や十二指腸の働きをコントロールしている自律神経を乱すことがあります。自律神経が乱れると、過剰に分泌された胃酸が胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、みぞおちの周辺に痛みを引き起こします。

3食あたり

腐った食品を食べたり、海外でなま水に当たったりすると、激しい胃の痛みとともに、下痢を起こすことがあります。海外の水はマグネシウムとカルシウムが多く含まれている硬水が多く、軟水に慣れた日本人は下痢をしやすいのです。また、地方によっては井戸水や溜め水を使っているところもあり、それらの水には注意が必要です。

4みぞおちの痛みの原因となる主な疾患

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など胃腸の疾患があげられ、その他には急性膵炎でも激しい痛みが生じます。また、虫垂炎(盲腸)の初期には、みぞおちに痛みがあらわれます。その後、痛みを増しながら右下へ移動し、痛みが右下腹部に行きつくころには、体を動かすのも大変なほど強く痛むようになります。また、心筋梗塞、肺炎などでもみぞおちの痛みをともなうことがあります。

みぞおちの痛みをともなう疾患

1急性胃炎

食べすぎ飲みすぎやストレス、ウイルス、ピロリ菌の感染、食中毒、アレルギーなどが原因で胃の粘膜がただれ、みぞおちが突然キリキリと痛むことがあります。その他に、吐き気や下痢をともなうこともあり、ひどい場合は嘔吐や吐血、下血を起こすこともあります。多くの場合、安静にしていれば2~3日で治まります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。胃炎

2神経性胃炎

仕事などによる精神的なストレスや過労が原因となり、自律神経がバランスを崩して起こる胃炎です。ストレスを受けて、自律神経がバランスを崩すと胃酸が過剰に分泌され、みぞおちが痛む、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがするなどの症状を引き起こします。この疾患・症状に関連する情報はこちら。ストレス

3胃潰瘍

ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが胃粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が胃粘膜や胃壁を消化することにより起こります。特徴的な症状は、みぞおち周辺のズキズキとした重苦しい痛みです。胃潰瘍は胃に入った食べ物が潰瘍を刺激して痛むので、食事中から食後の痛みが多くなります。その他、胸やけや胃もたれをともないます。

4十二指腸潰瘍

ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することにより起こります。

5食中毒

細菌に汚染された食品や毒素を含む食品を食べたことでみぞおち周辺に痛みが起こり、吐き気や嘔吐、発熱、下痢などの症状が急激に起こることがあります。原因となる主な細菌は、生肉などに生息するカンピロバクター、鶏や卵などに生息するサルモネラ菌、生の魚介類などに生息する腸炎ビブリオ菌、人の皮膚の傷口などに繁殖する黄色ブドウ球菌などです。毒素を含む食品には、ふぐ、きのこ、じゃがいもの芽などがあります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。食中毒

6胆石症

脂質の消化を助ける胆汁が固まり、胆のう、胆のう管、総胆管に胆石ができると激しいみぞおちの痛みが起きます。右肩に響くような痛みが出るのが特徴で、発熱、吐き気・嘔吐もみられます。また、胆汁の流れが悪くなり、黄疸が起きて顔が黄色くなったり、尿の色が濃くなったりします。発作が起きたときには、ショック症状によって血流が低下し、顔が真っ青になります。中年以降の肥満の人に起こりやすい傾向があります。

7膵炎

急性膵炎の多くは、胆石症やアルコールの乱用が原因です。とくに胆石による膵炎は女性に多くみられます。膵炎を引き起こす人の大部分がみぞおちの辺りに起こる激痛に苦しみます。そしてこの痛みは背中に突き抜けるほどに発展します。せきこんだり、活発な動作や深呼吸をするとさらに痛みが悪化します。こんなとき背筋を伸ばして座るか、前かがみになると痛みがやわらぎます。他に吐き気や嘔吐、発熱をともないます。

8心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が狭くなり、そこに血液が固まってできる血栓がふさいで血流が完全に止まってしまう状態です。心筋の一部が壊死してしまうことから、死に至ることもあります。突然、胸やみぞおちに激痛が起こり、吐き気や冷や汗などもみられ、胸の痛みは30分から数時間続きます。主な原因は動脈硬化ですが、これに高血圧や糖尿病、肥満、喫煙などが重なるとリスクが高まります。※上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

日常生活でできる予防法

1規則正しい食生活を送り、嗜好品を控える

食べすぎ飲みすぎはもちろん、朝食を抜いたり遅い時間に食事をとったりすることも、胃腸に負担をかけます。3食きちんと規則正しい時間に食べ、腹八分目に留めるようにすることが大切です。とくに、寝る前の脂ものは控えましょう。また、アルコールは適量ならば問題ありません。過度の飲酒は控え、楽しくお酒と付き合っていきましょう。

2食べ物の鮮度、なま水に注意する

気温も湿度も高く、食あたりが増える6~9月頃の時期は、食品の鮮度を冷蔵庫で保ちましょう。さらに、まな板や包丁などの調理器具を清潔にする配慮も欠かせません。また気をつけたいのは海外旅行中の飲料です。なま水は避け、屋台などでの果汁飲料や氷にも注意が必要です。

3ピロリ菌を除菌する

病院でピロリ菌検査を受けると、感染の有無がわかります。いくつか検査方法がありますが、吐いた息による検査や血液中のピロリ菌に対する抗体検査など、どれも簡単なものです。このピロリ菌は病院で処方された薬を服用するだけで痛みもなく除去することができます。ピロリ菌の除去は、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんを予防することや、潰瘍の再発を抑える効果が認められています。

対処法

1市販の薬を使う

食べすぎ飲みすぎによる胃の痛みには胃腸薬を服用しましょう。また、ストレスからみぞおち周辺に痛みが起こる場合は、神経性胃炎に効能のある胃腸薬が効果的です。最近では症状ごとに選べる新しいタイプの漢方処方の胃腸薬もあります。

2病院で診察を受ける

胃の痛みが長く続くときや、激しい痛みがあるようなときは、重い疾患が隠れている場合があります。主治医に相談するか、内科、消化器科、胃腸科の診察を受けましょう。ストレスによるみぞおちの痛みの場合は、心療内科で相談してみるのもいいでしょう。また、腹痛が強く発熱をともなうときには、呼吸器科や循環器科を受診してみましょう。

プチメモ日本人は胃がんにかかりやすい!?

日本人は、胃がんをはじめとした胃腸の疾患が欧米と比べて多いというデータがあります。これには主にピロリ菌の感染率が高いことや、塩分の摂取量が多いことが関係しているといわれています。
中でも胃がんは死亡原因第2位のがんで(1位は肺がん)、年間10万人以上がかかるほど身近な疾患です。胃がんは、早期発見できれば治療によってほぼ100%治りますが、初期には自覚できる症状があらわれないのが特徴です。40歳をすぎたら年に1回は健康診断を行いましょう。