脳腸(腸脳)相関

脳腸(腸脳)相関とは、脳と腸(消化管)の機能が関連していることを指します。例えば、ストレスを感じると下痢や便秘になりやすいことを体感したことがある人は多いのではないでしょうか。

離れた場所にある脳と腸をつないでいるのは自律神経系やホルモンなどで、脳からの指令が腸へ到達し、腸の情報が脳へ伝えられています。

腹痛や下痢、便秘といった症状がある過敏性腸症候群(IBS)は大腸の疾患ですが、その状態にはストレスが関与しており、ストレスを自覚すると消化器症状が悪化することがわかっています。また、IBSの患者さんは腹痛を自覚しやすく、その痛みの感覚は、消化管から脊髄を通って、脳で自覚します。まさに、脳と腸が連動している脳腸(腸脳)相関です。

また、最近の研究では、腸内細菌の乱れが認知症と関連する可能性があることが報告され始めています*1。便サンプルを収集し、腸内細菌を解析した結果、認知症の患者さんとそうでない患者さんでは腸内細菌の内訳が大きく異なっていました。

その他にも、うつ病やパーキンソン病などにおいても脳と腸が連動している可能性について、研究が進められており*2、注目が集まっています。

*1 Saji N. et al, Sci Rep. 30;9(1):1008, 2019.

*2 本郷道夫. 心身医学. 62:451-457, 2022.

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