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「栄養ドリンク剤」あなたは使い分けていましたか?

「栄養ドリンク剤」あなたは使い分けていましたか?

〈話し手〉 堀 美智子 Michiko Hori(医薬情報研究所 株式会社エス・アイ・シー)

 薬局やドラッグストア、コンビニエンスストアの店頭に並ぶ栄養ドリンク剤(ビタミン含有保健剤)。2017年4月から制度が変わり、今まではわかりにくかった医薬部外品の栄養ドリンク剤等の効能・効果の表示が使う人にとってわかりやすい表現になりました。さらに有効成分にあわせて、より具体的な効能・効果を記載ができるようになったのです。
 これまではどの製品も効能・効果は同じ文言でしか表示することができませんでしたが、「疲労の回復・予防」や「肌の不調」など目的にあわせたより具体的な表示に変わり目的に沿った使い分けがしやすくなりました。
 しかし、新しい制度を上手に活用するためには、正しい知識が欠かせません。
 そこで、セルフメディケーションに詳しい薬剤師の堀美智子先生に、制度の変更による生活者としてのメリットや製品を選ぶ際に心がけたいポイントについてお話を伺いました。

※本記事は、武田薬報webに掲載していた当時の記事になります。

治療や予防に!栄養ドリンク剤等は、なぜ表示が変わったか

 栄養ドリンク剤等(ビタミン含有保健剤)は医薬部外品の一つです。医薬部外品は、医療機関を受診しなくても、薬局やドラッグストアのほか、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも買うことができます。私たち生活者が気軽に利用できるビタミン含有保健剤を、身体の軽い不調時や不調の予防などにより役立ててもらうため、表示が具体的にわかりやすく改正されました。改正は2017年4月から開始され、順次表示の変わった製品が並んでくる予定です。この背景には、国のセルフメディケーション*の推進があります。身体の軽い不調時や病気になる前から健康に対して気をつかうことを勧める、大きな動きの一つといえます。
 新しい制度がはじまることで、より具体的な表示を確認して、目的にあった必要なものを選ぶことができます。

*セルフメディケーション: 自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること

絶好のチャンス!今回の改正を最大限に活かすには?

①選ぶときのポイントは?製品の表示を読んでから選ぶ

 以前の制度では、「肉体疲労時の栄養補給、滋養強壮」など表示されている効能・効果がわかりにくく、気合を入れたい時や、普段から使っているといった理由で栄養ドリンク剤等を使うことが多かったと思われます。
 これからは、「夜遅くまで仕事をした」「忙しくて栄養バランスのよい食事が摂れない」「今日は仕事が大変だ」といった場合、「疲労の回復・予防」に効果がある栄養ドリンク剤等を選ぶことができます。また同じ栄養ドリンク剤等でも「肌の調子が悪い」といった場合は、「肌の不調」の効能・効果の表示があるものを選ぶことができます。

 さらに、同じビタミンでも、栄養素を補うためと、何らかの効果を期待して摂るという二つのパターンがあります。効果を期待して使う時は、医薬品や医薬部外品を選択するほうがよいでしょう。また、「近ごろ野菜を摂っていないのでビタミンCを単に摂りたい」と思ったら、ビタミンCが含まれる食品(健康食品等)を選ぶ、という使い分けもできます。
 医薬部外品は医薬品よりも体への影響がマイルドであっても、成分ごとに特徴があります。製品の表示を読んで、目的にあったものを選んで使うことを習慣にしましょう。これが、セルフメディケーションの第一歩です。一人ひとりが必要なものを選んで使い分けることは、健康維持により役立つはずです。せっかく制度が変わったのですから、製品の表示をよく読んで、まずはご自身で判断してみましょう。

 医薬部外品は、医薬品のように法律に基づいて効能・効果の認められた有効成分が含まれますが、薬局やドラッグストア以外のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等でも購入することができます。また、医薬部外品のなかには、「指定医薬部外品」といって、以前は医薬品だったものも含まれています(整腸剤やビタミン剤など)。もともと医薬品ですから、体の中に有効成分がどの程度吸収されるか、どのような効果があるのか、きちんと検証されているものです。
 一方、健康食品とは法律で決められたものではありません。健康食品の中で、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)食品は、国の定めた栄養成分を一定以上含む「保健機能食品」です。「保健機能食品」には、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)があります。また、病者用食品のように、特別用途食品もあります。

厚生労働省『「統合医療」に係わる情報発信等推進事業』
「統合医療」情報発信サイト内 統合医療エビデンス「健康食品」ページを基に作図
[URL] http://www.ejim.ncgg.go.jp/doc/index_food.html

②この機会に見直しましょう。薬剤師や登録販売者に相談して選ぶ

 薬局やドラッグストアで「この製品とあの製品の違いは何だろう」と思ったら、薬剤師や登録販売者など薬の専門家に気軽に相談してください。セルフメディケーションは、正しい知識があってこそ成り立つものです。自分一人だけで健康管理を行うのではなく、専門家の力も借りて健康管理をしましょう。
 製品の選択に専門家のアドバイスを利用することは、賢い方法の一つです。いまでは多くの人がインターネットにアクセスして膨大な情報を入手できますが、そこには正しい情報と間違った情報が混在しています。情報の信頼性を判断し、なおかつ自分に本当に必要な情報を選んで活かすことは、それほど簡単ではありません。年齢や生活習慣、食事、仕事、持病などが異なる一人ひとりに対してふさわしい情報かどうかを判断できるのが、薬の専門家です。

 薬局やドラッグストアで医薬品を買うことは、単純に有効成分が入ったモノを買うことではありません。モノだけでは薬にはならない、と考えてください。「モノ+情報」で薬なのです。モノを買うだけでは、もったいないと思いませんか。薬剤師や登録販売者に声をかけ、情報やアドバイスを得るようにしましょう。もちろん医薬部外品も同じです。「医薬部外品+情報」で、自分に適した医薬部外品を選んで買いましょう。薬の専門家に一度相談しておけば、コンビニエンスストアでも自分にあったものを選ぶことができます。
 セルフメディケーションを正しく行えるように、日頃から薬局で会話をして、信頼できる健康情報を理解しておくなど、ヘルスリテラシーを高めることが大切です。あなたの健康管理をレベルアップするために、専門家の知恵をもっと積極的に利用してください。

 ヘルスリテラシー(health literacy)とは「健康増進や維持に必要な情報にアクセスし、理解し、活用していくための、個人の意欲や能力を決定する認知的・社会的スキル」です。世界保健機関(WHO)で1998年に定義されました。

 日本でも生活者、医療従事者、医療機関、教育機関、行政、企業などさまざまなところで、ヘルスリテラシーの向上を目指す取り組みが行われています。

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