あごの痛み
  • 皮膚(顔) 皮膚(顔)

あごの痛み

あごの痛みは、あごへの過度の負荷が原因となって起こるものや、顔の神経の障害によって起こるものなどがあります。軽い違和感だけだからといって放置していると、痛みが強くなって食べることすらままならなくなる場合がありますので、注意が必要です。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

あごの痛みの原因は歯の噛み合わせや食いしばりなどが考えられる

歯の噛み合わせが悪いことによるあごの歪み

歯の噛み合わせが悪かったり、入れ歯や差し歯が合っていないと、それが習慣化してあごが歪むことがあります。あごの歪みによって日常的にあごの筋肉に負担がかかり、あごの痛みを引き起こしやすくなります。

歯の食いしばりや歯ぎしりによるあごへの負担

重い物を持つときや、寝ているときに歯を食いしばると、あごには自分の体重ほどの負荷がかかるといわれています。そのうえ前後左右に歯をぎりぎりと動かせば、あごや歯に負担がかかります。こうして負荷を受けたあごは徐々に関節が歪み、痛みの原因になります。

食習慣によるあごへの負担

硬い食品を一気に食べた後、あごが疲れて痛みを感じた経験は少なからずあることでしょう。しかし、近年は逆に軟らかい食品ばかりを食べていたためにあごが弱くなり、噛むなどの日常の動作だけでも痛みを感じる人が増えています。また、片側だけで噛む習慣があると、あごが受ける負担が左右異なるため、あごに歪みが生じて痛みを引き起こすことがあります。

あごの痛みの原因となる主な疾患

あごの痛みが起こる代表的な疾患は、顎(がく)関節症です。痛みがなくても、あごがカクカクと鳴るのは顎関節症予備軍の症状ですから注意しましょう。あごを通る神経に障害が起こる三叉(さんさ)神経痛や帯状疱疹もあごの痛みの原因となります。また、あご以外に口の中や耳にも痛みがあるときは舌咽(ぜついん)神経痛などを疑う必要があります。

あごの痛みに加えて顔の神経痛や水ぶくれなどを伴う場合に考えられる疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

顎(がく)関節症

噛み合わせが悪かったり、食べ物を片側の歯だけで食べるくせがある。さらに、歯ぎしりや頬杖をつくくせなど、あごに負担がかかる要因が重なり合うことで発症します。また、ストレスなどであごの筋肉が緊張している人にも起こりやすいといわれています。症状が進行すると、口が大きく開けられず、無理に開けようとすると痛みが走るようになります。

三叉(さんさ)神経痛

顔のこめかみから目、あご、頬と三本に枝分かれした三叉神経が支配する領域に起こる痛みを三叉神経痛といいます。多くは、脳に流れる血管がこめかみで神経に触れたり、神経を圧迫することによって起こります。目、あご、頬を中心に、突然、ぴりぴりとした痛みがあらわれます。

帯状疱疹(帯状ヘルペス)

帯状疱疹は、体の中に潜伏していた水ぼうそうのウイルスが再び活性化して起こります。激しい痛みをともなう小さな赤い水ぶくれが体の片側に帯のようにあらわれ、こめかみやひたい、頬、上あごや下あごにできることもあります。水ぶくれは1〜2週間で治まります。日本人のほとんどが持っているウイルスですが、お年寄りや疲れが溜まっている人など、体の免疫力が落ちてきたときに発症しやすくなります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 帯状疱疹(帯状ヘルペス)

舌咽(ぜついん)神経痛

のどの奥にある舌咽神経の異常によって発作的な痛みが起こる疾患です。発作はあくびで口を大きく開けたときや酸味の強い物を食べたときなどに起こり、焼け付くような強い痛みや、電気が走るような鋭い痛みがのどや舌、耳の奥に瞬間的にあらわれます。痛みがのどの奥深くで起こるため、人によっては「あごの関節が痛い」と感じることもあります。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

一時的なあごの痛みには冷却やマッサージなどで対処、痛みが続く場合は病院へ

あごを冷やす、あるいは温める

あごに強い痛みが起こり、あごを動かさなくてもズキズキするようなときは、冷湿布や冷やしたタオルで10分ほどあごを冷やすと痛みが緩和されます。急激な痛みがおさまり、あごを動かしたときにだけ痛みを感じるようなときは蒸しタオルなどであごを覆うように温めると、痛みがやわらぐ効果があります。

あごが疲れたときにはマッサージをする

あごが何となくだるいときや、軽い痛みがあるときは、2〜3本の指で痛むところを優しく押しましょう。そして、ゆっくりと円を描くように揉んでいくとあごの血行が良くなり、だるさや痛みが軽減します。

病院(歯科・整形外科・神経内科など)で診察を受ける

口を開けると痛い、開けにくいといったあごの異常が一週間以上続くようなときは、顎(がく)関節症が疑われますので、歯科や整形外科で診察を受けましょう。また、あごや舌に鋭い痛みが走ったときは神経内科や脳神経外科、帯状疱疹の症状である水ぶくれをともなうときは皮膚科で診察を受けましょう。

定期的な歯科健診や、口の体操・バランス良い食べ方であごの痛みを予防

あごの歪みや噛み合わせを検査する

あごの歪みや噛み合わせの異常は歯の痛みだけではなく、虫歯や歯周病の原因になることでも知られています。日頃から噛み合わせが悪いと感じている人は、一度歯科を受診してみることをおすすめします。

ときどき口の体操をする

長時間デスクワークをしたり、緊張が続くと無意識に歯を食いしばっていることが多くあります。ときどき「あいうえお」の形で口を大きく動かすとともに、軽く伸びをして体の緊張を解きほぐしましょう。また、頬杖をついたりうつぶせで寝るなど、あごに負担をかけることは止めましょう。

硬い食品と軟らかい食品をバランス良く食べる

軟らかい食品ばかり食べているとあごの筋肉が退化していきますので、軟らかい食品ばかりを食べることは避けましょう。そして、噛むときは片側だけで食べずに両側の奥歯を交互に使い、良く噛んで食べるように心がけましょう。

プチメモ気をつけてあげたい子どもの顎(がく)関節症

気をつけてあげたい子どもの顎(がく)関節症

近頃、12歳前後の顎関節症患者が増えているといわれています。主な原因としては、軟らかい食品中心の食生活によって、あごがきゃしゃな子が増えていること。そしてもう一つの原因として挙げられているのが、ストレスの増加です。現代の子どもの多くは受験や人間関係など、さまざまなストレスを抱えています。そのために無意識のうちに歯を食いしばることが多く、それが顎関節症を引き起こすのではないかといわれています。